アルトリアブログ

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口述試験体験記

予備試験は論文式試験が7月に行われ、忘れた頃の10月の始めに合格者が発表される。論文試験の合格率は1割前後であり、まさか自分が論文試験を突破しているとは思わず、発表を見て慌てて口述試験の対策を行う受験生は僕以外にも多いであろう。
僕の場合、特に夏休みを遊び呆けたことでほぼ全ての知識を失い、秋学期の最初の授業で解除の要件事実がわからず教授(saltseegoodman)に呆れられるまでに法律力が低下していた。
口述試験はその名の通り口で述べる試験であり、滝本ひふみ並みのコミュニケーション能力しかない僕にはかなりのディスアドバンテージが存在する。合格率は9割以上とはいえ、これは下手をすれば落ちかねないと思い、自習室に篭りきりで例のなんとか類型別のなんとか事実という死ぬほどわかりにくい本を延々と丸暗記していた。
試験会場は千の葉が舞い飛ぶ新浦安にある、普段は職員の研修所(?)のような法務省の施設である。前日のうちに上京し、宿泊地からりんかい線京葉線を延々乗り継いで会場に着くと、体育館のような場所(というか体育館)が待機場所になっており、◯室◯◯番と書かれたプラカードを渡され、その順番通りにパイプ椅子に座ってひたすら待たされる。ただの体育館なので寒い。
部屋ごとに試験官が違うので、優しそうな試験官に当たることを祈りながら、六法をペラペラめくって番号が呼ばれるのを待っていた。
11時を過ぎた頃に、ついに名前を呼ばれ、長い廊下をスタスタと歩き、別の待機室へ移動する。そこから20分ぐらい経ってようやく僕の番となり、ノックをして試験室に入る。
試験室は6畳ぐらいの寮の一室であり、机が二つ向かい合っていて片方に試験官が2人座っている。机の上には甲土地乙土地などの図が書かれた紙が置いてある。
片方の試験官が事案を説明し、その後訴訟物や請求原因、抗弁、立証手段、再抗弁など色々聞かれる。緊張して何回か詰まったりしたが、事案自体は取得時効という典型論点であったことや、試験官が両方とも優しく誘導してくれたりしたのでなんとか乗り切った。
2日目も朝から。今度は刑事である。いきなり親族相盗について聞かれ、ビビる。親族相当なんて学部二回生で勉強して以来だったが、奇跡的に判例が頭に浮かんでくる。

 

イメージ図

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試験官が両方とも威圧的で、怖い。副査が始終首を傾げていて、ひと段落終わるごとにねっとりと補充の質問をしてくる。特に、盗品にも横領罪が成立するか聞かれ、成立しないと答えると、は?みたいな顔をされる(判例は肯定)。その後、じゃあ何罪が成立するか、事案を変えるがこの場合はどうかなど矢継ぎ早に聞かれるが、否定説からの帰結を無理やりひねり出していると、なんとか追及の手が止む。
質問が手続法に移っても、民事と違いロースクールでやっていない刑事実務は完全に付け焼き刃の知識なので、突っ込まれまくる。条文上◯◯ができるのは誰かみたいな質問に対して、超適当に答えると、試験官が何言ってんだこいつみたいな顔をしていた。
ボロボロになりながら最後の質問である弁護士倫理にたどり着く。無難に答え、なんとか解放される。部屋を出る頃には喉がカラカラになった。
2週間後だかに発表があり、無事合格しているのを発見して安堵する。点数は平均点レベルの120だった。合格したらラッキーの心持ちで臨める論文式と違い、受かって当然の口述試験は妙なプレッシャーがある。得難い経験ではあったが、二度と受けたくない試験だと思った。